毒に惹かれるということがある。
クリーンでヘルシーで清廉潔白なものよりも
毒々しくて禍々しい、正体不明のものが気になるというのはどういうことか。
それは私の内にある毒のせいなのか
真っ白な子羊よりも薮睨みの黒猫を
ひなたで健気に咲くデイジーなんかよりも、
日陰に怪しく佇む食虫植物を
真昼に高く羽ばたくヒバリよりも、不気味に舞い降りるふくろうやよだかを
それぞれ好みなので我ながらどうかとも思う。
そんな私好みのヒロインはヒラヒラ清楚なお姫様ではなく、
やっぱり魔女である。
アーサー王伝説で一番好きなのは
アーサーでもランスロットでもなく
魔導士マーリンだったりするし。
ああ、彼らはそれぞれ邪悪だったりはしないけど
訳わかんない「含み」とか「影」みたいのがあるから
むしろそういう要素が好きということかもしれない。
そして今読んでいるのは
『邪悪な植物』エイミー・スチュワート著 山形浩生
有毒なものはまた強力な薬として珍重される場合も多くてですね。
要するにコントラストの強さみたいなもんに
魅力を感じるのだろうか。
この本の訳者、山形浩生さんの著作や翻訳した本は、
背伸びしてでも読みたくなるというのは
行間を漂う毒に惹かれるからでしょね。
難しいことを難しい言葉遣いで訳して
煙に巻いたりしない(一般的な専門書の翻訳なんか一行で沈没。。)
ところも好きなんですが
私の理解力ではそれでも、大半わかんないけどいいんだ。
そういうストックは器から溢れる時まで使えないもんだ。
私の器には派手にヒビが入っているらしく
結構漏れるんだけどさ。。