ぬかみそと土とおなかのなか

去年残念なことになって泣く泣く埋葬したぬか床ですが
ようやく春めいてきて、お店も山に戻り
またあれに再チャレンジしようか
という気持ちがむくむくと立ち上がってきました。
今度は生の糠はやめて
炒り糠を使い
前回使っていた土鍋のかわりに
ホーローの容器を入手し
前回のような失敗を
くりかえさないように万全を。。
炒った糠に塩と水とこんぶと唐辛子。
まずは捨てず漬けのための
トウが立った白菜をほうりこみます。
水分はこころもち少なめ
一日一回素手でかきまぜ
捨て漬けを取り出して
あたらしいのに入れ替えます。
前回入れていた、スの入った(スカスカでした)大根を
ちょっと切って食べてみる
と、
あれ、もう結構、普通においしいんですけど。(素材はスカスカだけど)
あと、気温が低いからかもしれないけど
あのぬか漬けの匂いがマイルドというか
糠に麹を足したような匂い。
うわーぬか漬けだーというような
刺激的な感じは全然ない。
単にこなれてないだけか。
でも糠床がいい状態なら、
実は不快な匂いはしないのではないか
というのが、漠然と考えること。
匂いといえば、ぬか漬けをかき混ぜると
畑の土と人間の腹の中のあれ
のことに、つい思いをはせる。
そんなことを言うと、糠漬けを食べるのをいやがる人もいるかもしれないけど、
この3種は実に似ている、と、私は思っている。
あたたかくして、適度な栄養をあたえ
愛をもって適度にかまい、空気を含ませる。ストレスを与えない。
と、よい菌が機嫌良く増える
という、この流れはぬか漬けでもパンでも、土でも、腸内フローラでも同じ。
便秘の人やお腹の調子を崩しがちの人は
ぬか漬けや発酵食作り、さらには畑仕事には不向きであると
根拠もなくここに断言しよう。

去年、お店の開店のごあいさつのため
中谷の三宝様(この集落のかまどの神)のお堂の中に
洗った米をそなえに行って、
翌日、お米をのせた皿を下げにいったら
お堂の扉を開けた瞬間
ふわりとお酒の匂いがしたのです。
水に浸した米が
一晩で酒になったということはないでしょうが
機嫌のいい神様がいるところでは
ぬか漬けもどぶろくもおいしく作れるに違いない
と、直感的に、そんなことを考えたのでした。