うずまき地下足袋物語 其の三

色々問題もありましたが
ようやく着用できるモノが出来上った地下足袋
染めるだけなら簡単?と思いきや。
使用している墨と柿渋、
化学染料とちがって、味わいがあるけど
なかなか気難しい。。


まず、墨、この材料はいわゆる染料ではなく
顔料の仲間なので粒子が荒く、繊維に定着しません。
フツーに染めただけではどんどん色落ちいたします。
色も黒いのでタチが悪い。
一般にはバインダーと呼ばれる定着剤を使用するようですが
できるだけケミカルな物を使いたくないと思い
柿渋で定着させることを思いつきました。
柿渋は水性なのに乾くと耐水性。
いわば天然自然の水性ニスであります。
おまけに独特の色も魅力的。
これこれ、とばかりに、墨で染めてから
何度も洗いをかけた上、
しっかりと乾燥させて
おもむろに柿渋を塗っていきます。
これをまた乾かせば、
墨の色落ちはある程度防げるはず。

ところが。さずがは天然水性ニスです。
このまま乾かすとせんべいのようにバリバリの風合いとなり、履き心地は最悪。
そこでこれからさらに、洗い、ばりばりになった
生地をもみほぐす作業をいたします。
これがなかなか簡単にはほぐれてくれません。
何度も洗って生地がやわらかくなるまで続けます。


最後に、形を整える工程をへて
やっとできあがりです。
ただ染めてるといって
刷毛塗りを3回以上、洗い10回以上
ほぐしや、整形などもあって、結構てまひまかけてます。
そのへん一見わかりにくいので
ただただ染めてるというだけではないのです。
という、今日は手間ひまアピールでした。


↑こちらは柿渋のみの茶色着用例です。