天国地獄ツアー

何の番組だったのか、いつのことだったか
ちっとも覚えていないのだけど
何かのテレビ番組で紹介されていた寓話が
ずっと心にひっかかっています。
その話のあらましはこんなかんじ。


天国と地獄の見学ツアーに行く主人公。
ツアコンのお化け(?)に連れられてまずは天国に行きます。
一瞬で連れて来られたその場所は
予想に反して蓮の池も仏様もいなくて
ただ真っ白くてだだっぴろい広間に大きなテーブル。
テーブルにはにこにこと機嫌の良い白装束の人々が着席していて
皆なごやかにお話をしています。
ふと
いつのまにかテーブルの中央にはおいしそうなごちそうが
並んでいました。
しかしそのごちそうは何故か席から直接手の届かない場所に並べられていて
人々はそのごちそうを長い長いお箸でつまんでは
そのお箸が届く場所にいる人の口に運び
みんながどうぞどうぞと、食べさせあっています。
主人公が
なるほど、天国では皆楽しそうにしている。
と思ったところで
お化けが
「次は地獄にご案内します」
といいました。
次の瞬間
目の前にはまた真っ白な部屋と大きなテープル。
主人公ははじめ移動したことに気がつきませんでした。
地獄の釜も怖い鬼もそこにはいません。
お化けが間違えたのかな
と思いながら
もういちどよく見ると
そこに座っている人達の様子が変です。
みんなガリガリにやせていて
目は血走り、周りの人を睨みつけています。
手にはそれぞれ
あの長い長いお箸を持っているのですが
自分の口に入れようとやっきになった末
誰も食べ物を口に運ぶことができず、
テーブルの真ん中にちらばったままです。
そうです。
ここでは誰ひとりとして
他人の口に食べ物を運ぼうとする人がいないのです。
皆ごちそうを前にしながら
他人を口汚く罵倒して
けんかばかりしています。
もっと暗くておそろしい場所を想像していた主人公ですが
先の天国とまったく変わらないこの食卓を見て
こんなおそろしい場所はない

そんな風に思って現世に戻ります。

あらましはだいたいこんな話だったと思います。
この話について出典もよくわかりませんが
私はこの話を聞いて
なんだ
これは天国と地獄の話じゃなくて
私たちがいるこの世の話じゃないの
と思ったのでした。
なんか坊さんの説教みたい。
と思われるかもしれませんが
別に説教をしたい訳でもなく。
このお話の中に、何かとても大切なことがあるような気がしたので
とにかくここにメモのように残しておこうと思った訳です。
何かってそれが何なのか
いまいちうまく説明できないんだけどね。