うつくしいもの

ものを作ったり、デザインしたりするお仕事の人は
よいと思うもの、うつくしいと思うものごとについて
それを定義するのは、一体どのようなものでどこにあるのか
誰もが一度は、そのようなことを考えるのではないでしょうか。
そもそも、それぞれが持っている
ものさしの尺度自体、まちまちであるので
共通の正解を議論するのはちょっとナンセンス?
なのかもしれませんが。


それで自分の基準は何だろう、と考えてみても、
なかなか的確な答えは見つからないのですが、
河井寛次郎さんが著書で、
茅葺き屋根の集落を、
『地面から生えて来たみたいな家』
と表現されているのを読んで
ああ、そうか。と。
少なくとも自分は、そのような
その場所で、その色、そのかたちであることに無理がなく、
そのものの周りも含む、全体のムードが調和している時に、
いいと感じているのかもしれない。

ある空間にあって、うつくしい、と思えたものに
とびついて買い求めたものの
家に帰ってから、はて?と思うときがある。


うつくしいと思うものがしっくりと収まる空間や
さらには持ち主の人柄
そのような土壌がなくては根付かない、
本当の意味で、手に入れることはできないということだろうか。