本日の一冊 9/15 『種まきノート』

たかが本と申しましても
その一冊との出会いで人生が変わっちゃうってことも
ないわけではないわけで。
自分にとって、重要なメッセージを秘めた本
というのは、誰にとっても
という訳ではなく
それを受け取るタイミングによっても
作用は異なり
感銘をうける部分もまちまちです。
同じ本を読んで感動したといって
同じ部分に引っかかってる訳じゃなかったりして
それがまた本の面白いところだったりします。
それで他の誰でもない私にとって
過去5年間で、一番影響を受けた一冊というと
間違いなくこの一冊。


『種まきノート』 早川ユミ著

ちょうど5年前
2008年刊行のこの本との出会いがなければ
今私がこうしてここにいることはないはずで、
この本は私の中の夢を現実に引き合わせた。
たぶんできないという思い込みに
いつのまにかすっかり麻痺した野生感覚に
冷や水をぶっかけた。
当時の仕事や暮らしに違和感を感じながら
その違和感を飼い馴らして来た自分に
好きなことに本気で取り組んで
妥協せずに自分を生ききるという正反対を
突きつけられた気がした。
通勤電車で切り離された暮らしと仕事が
そこではちゃんと繋がって生きているように思えた。
そんな生き方ができるということを
おとぎ話の中じゃなくて
現実にやっている人が
この日本に
実際に今存在するということに
びっくりしながら夢中で読んだ。
物語のようなエピソードが
歌うような自由さで綴られたこの本の著者にひかれて
とうとう高知の山奥までやってきてしまった。
夢見て耕し、種をまく
晩生の種はなかなか芽が出なかったりするものですが
見よう見まねで蒔いてみた種は
5年もしてようやく土から顔を出そうというところ
ただし蒔いてもいない種が芽を出すこともない。
実をつける時に自分がこの世にいないとしても
明日世界が終わるとしても
もくもくと耕し
種をまく人でありたいと
今またあらためてそんなことをおもいます。
種まきノート―ちくちく、畑、ごはんの暮らし